神子

□序章 神子
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『…こ…神子、みつけた…やっと……』
「うっん……ん」
不思議な声がして目が覚めた。
いつもと変わらない朝…でも何かが起こりそうな予感が上条瑠璃には感じた。
「……今の日常が変わるなんて…あるはずないのにね……」
長い前髪で瑠璃の表情は見えないが、今にも泣き出してしまいそうなのを必死に我慢していた。
しばらくジッとしていたが、ノロノロとベッドをおり、制服に着替えた。

リビングに下りていくと瑠璃の義理の両親が楽しそうに会話をしていた。
瑠璃は一瞬ドアノブに手をかけるのを躊躇したが、ソッとドアを開けた。

それに気がついた義母が、憎悪に歪んだ顔をし、瑠璃を見た。
「…………す…」
そんな義母の視線に怯えた瑠璃はいつもよりも小さな声で挨拶をしまった。
そのことが気に入らなかったのか、いきなり瑠璃の頬を叩いた。瑠璃の小さな身体は簡単に飛ばされ、壁に身体をぶつけてしまった。
「くっ…っっ…」
苦痛に顔をゆがめても義母も義父も醜い微笑を浮かべて見ているだけだった。
「聞こえないわよ!挨拶くらいちゃんとできないの!?誰がここまで育ててあげたと思ってんのよっ!」

ビクっ!

「ごっごめんさないっ」

瑠璃は次の暴力に備えて両腕を顔の前で交差させて誤った。

いつの間にか義父が近くにやってきており、瑠璃の髪を鷲づかみにし、立たせると、おなかに蹴りを入れ、倒れた瑠璃のお腹を再度蹴った。
「グっ…ゥッ…ッ」

あまりの痛みに身体を丸めた瑠璃をみて二人はあざ笑うように笑い、さっさと家から追い出した。

痛みが引き、動けるようになると、思い身体を引きずって学校へと向かった。
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