短編
□光
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先月、僕は15歳の誕生日を迎えた。
そのプレゼントに貰った時計のボタンを押す。
「午前7時28分です」
時計が音声で僕に時間を教えてくれた。
今日は天気があまり良くないらしい。
「洗濯物乾くかしら?」と母さんが呟いていた。
でも、雨は降っていないようだ。
だって、雨音が聞こえないし、何より雨の匂いがしない。
「アキラ、ご飯よ」
母さんが僕を呼んでいる。
ちなみに漢字では『明』と書くらしい。
父さんが言うには、『明るい人になってほしい』という願いが込められているんだとか。
僕も『アキラ』という響きはわりと気に入っている。
さて、気付いた人もいるかもしれないが、僕は目が見えない。
産まれてから今まで、無限の闇の中で行きてきた。
そのせいで僕はあまり外に出る事もなかった。