記憶の欠片

□1話 目覚めし男
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男はただひたすらに走り続けていた。

闇の中を真っ直ぐに――。


だが彼は自分が何処を目指していたのか分からなかった。

彼は何故そこを目指していたのか分からなかった。

彼に残されてているのはただ走り続ける事だけ。


自分のただ一つの記憶に従い彼は体が動かなくなるまで走り続けた。

体が動かなくなってもただ走る事だけを考えた。

やがて彼の意識は闇に沈んでいった。
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