記憶の欠片

□5話 心に眠るモノ
1ページ/4ページ


ロゼルとの戦いは一方的に進んでいた。

「あんた粘るねぇ、そんなにボロボロなんだからもうギブアップしたら?」

「はぁ…はぁ…うるせぇ」

ラオマはもう立っているのもやっとだった。

「早く倒れてよ〜、あたしもう帰りたいんだから」

「だったら俺を勝たせてくれればいい」

「それはダメ。ファンの為にもね」

ロゼルが剣を振る。

剣は刀身が10本に別れ、全てが別々の動きをする。

「…っ!!」

ラオマも両腕の剣で弾こうとするが2、3本防ぐのが精一杯。

残りを受け、痛みに顔を歪める。


(アレ…やってみるか…)

ラオマはふらつく体を無理矢理起こし、両の剣を人間の腕に戻す。

「あら、限界かしら?」

ロゼルが余裕の笑みを浮かべる。

「はぁ…はぁ…はぁ…勝手に言ってろ…」

ラオマが呟き、戻した両手をロゼルに向ける。

「何する気?」

「こうする気だよ!!」

声と共に手から5本のナイフが飛び出す。

「なっ!?」

ロゼルは一瞬ひるんだが、すぐに剣を変形させて盾を作り出す。

しかし、わずかに間に合わず2本がロゼルの右肩と左足をかすめる。

「っ!」

「はぁ…最初に…油断するなって言ったの…あんた…だぜ?」

「まさか飛び道具が出て来るとはね…」

「図書館で見つけたんだ」

「図書館?」

「結合能力について調べたらある事がわかってね、それを応用したんだ」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ