記憶の欠片
□7話 来訪者
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試合の日から一週間。
ラオマとラミはいつも通りパン屋で働いていた。
「……ってちょっと待て!いつからパン屋のバイトが俺の日常になったんだ!?」
「ホレ!文句を言わずに働きな!」
「今晩の夕食費を稼がないと夕飯抜きですよ?」
「闘技場で貰った賞金はどうした!?」
「あれは貯金しました。いつか家をリフォームしようと思って」
そんな話を楽しみながら仕事をこなしていると
「誰が楽しむかッ!!」
二人組の男が店の前に現れた。
「よう、やっと見つけたぜラオマ君?」
「…?誰だアンタ?」
ラオマには全く心当たりがなかった。
「お前は知らねぇだろうが俺等はお前を良く知ってるぜ!」
「よくもロゼルさんを!!」
男達は敵意をむき出しにして睨みつける。
「ロゼルは死んじゃいねぇだろ?」
「うるせぇ!」
いきなり片方の男が手を振り上げる。
すると地面から植物の根が飛び出し、ラオマを絞めあげ動きを封じた。
「!!…ッく…ぅ…」
「オラ!表出ろ!!」
男が叫ぶと同時に根がラオマを力強く引っ張り、たまらずラオマは店の外へ放り出された。
「ラオマさん!!」
「駄目!ラミちゃん!!」
走り出そうとするラミをセリミアが抑える。
「燃えやがれ!」
もう一人の男が右掌を突き出すと、そこからバスケットボール程の大きさの火球が放たれた。