記憶の欠片
□9話 力の限界
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ローグとラオマが向かい合い、ロゼルとラミは少し離れた所からそれを眺めていた。
「準備はいいか?ラオマ」
「OK!いつでもどーぞ」
ローグの問いに軽く手を振って応えるラオマ。
「じゃ、遠慮なく…!」
そう言うとローグは、試合開始とばかりに3発の銃弾を放った。
だが、ラオマはそれを体を捻ってかわし、そのまま回転して5本のナイフを放った。
「!」
不意の投擲に驚くものの、ローグはすぐに回避を行い、避けきれないと判断した2本を、左腰のナイフで叩き落とす。
「お前、結合能力者か?」
「うゎ、もうバレた?」
自分の能力を知られるのは、少なくとも好ましい展開ではない。
情報があれば、攻撃をある程度予測できるからだ。
「空いていた手からナイフが出たら誰でも気付くぞ」
「ま、確かにそうだな」
ラオマは、知られたものは仕方がないと早々に諦め、腕を聖剣と魔剣に変化させる。
「ほぅ…過去に聞いた通り変わった能力だな?」
「そりゃどうもッ!!」
間合いを詰め魔剣を振るうが、ローグは大きく飛び退いてかわすと共に、間合いを元に戻した。
「だがその程度か!?」
ローグが着地と同時に銃を撃つ。
更に間合いを詰めようとしていたラオマには、それを避ける事ができなかった。
「ぐあぁ!」
痛みと熱が肩を貫く。
見れば服は焼け焦げ、穴が空いていた。
「あちちッ!何だその銃は!?」
「このまま戦うのは不公平だ、教えといてやろう」
指から小さな火を出してみせながらローグは言った。
「俺の能力は炎だ。銃には特別な金属が使われてて、炎を銃弾に出来るのさ」