記憶の欠片

□2話 結合能力者
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二人は慌てて外に出てみるとそこには馬車が3台、ナイフや剣を持った男達が20人ほど立っていた。

「ここですぜアニキ、あのオヤジの家!」

先頭にいた細身の男が後ろのゴツい大男に言った。

「何ですかあなた達は!」

ラミが声を荒げると大男が答えた。

「俺様達は盗賊だよ、お嬢さん?」

「盗賊!?」

ラミの顔が青ざめる。

「その盗賊様がここに何の用だ!!」

男が叫ぶと先程の細身の盗賊が

「盗賊が金以外に何の用があるってんだ?」

と言って笑い始めた。

それに続いて他の盗賊達も笑い出す。

「ラミ、下がってろ」

「でも喪失さんが…」

「何とかなるよ。そんな気がする!」

そう言って男は前に出る。

「何だ?やる気かい?」

細身の盗賊が剣を取り出し、鞘に納めたままの状態で振り抜く。

剣は男の腹に当たり、男がよろめく。

「喪失さん!これを!!」

男が振り返ると同時に一本の木の棒が飛来した。

男はそれを掴もうとするが失敗し、後ろから迫っていた細身の盗賊の顔面に直撃した。

「いってぇなチキショー」

細身の盗賊が叫び、一歩後ろに下がる。

その隙を見て男は棒を空中でキャッチし、そのまま盗賊の右脇腹に叩き込んだ。

盗賊は激痛で声をあげる事も出来ずに地面を転がる。

「って〜な…人がせっかく手加減してやったのに」

盗賊は剣を鞘から抜き、鞘を放り投げた。

「テメェ、ムカツクなぁ…ここのオヤジみてぇに死にてぇのか?」

その殺気に男が身構える。

盗賊は地面を蹴って一気に間合いを詰めると剣を大きく横に振る。

男はバックステップでそれをかわすが木の棒は真二つになり、使い物にならなくなってしまった。

さらに盗賊は体当たりをして男を突き倒す。

「しまっ!」

「終りだ!!」

盗賊が頭の上に剣を構えて振り下ろす。

男は思わず腕をかざして目を閉じた。
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