記憶の欠片
□3話 刻まれた名前
2ページ/3ページ
それから三日後。
「ラオマさ〜ん!」
「何だ?」
「街に出掛けませんか?」
「街に?」
朝食の後でラミは突然そう提案した。
「ええ、案内します」
「…まぁ行ってみるか」
「わーい!」
ラミは子供のように両手をあげて喜び、自分の部屋に入って行った。
それから5分ほどでラミは部屋から出てきた。
おしゃれな服を着たラミはいつもより少しだけ大人びて見えた。
やはり16歳の女の子、ファッションには気を使うらしい。
「さあ行きましょ!ラオマさん」
二人は街に向かって歩いて行った。
「…で、何でこうなったんだ?」
「文句言わない!お金がないと街で買い物出来ないんですから」
「いや…まあ確かにそうだが…そうじゃなくて…」
二人は街のとあるパン屋で仕事をしていた。
「ほれラオマ!しゃべってるヒマがあったら運んでちょうだい!」
ラオマを注意した女性の名はセリミア。
見た目は40代のポッチャリした人で、身長がかなり高い。
パンチパーマをかけていてそれが余計に身長の高さを強調している。
(ラミのやつ、最初から仕事させるのが目的だったな…)