記憶の欠片

□5話 心に眠るモノ
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昨日、ラオマは図書館で結合能力について書かれた本を見つけていた。

その本には能力の特徴が書かれているだけだったが、ラオマにいくつもの知識を与えてくれた。


――結合能力――
体の内に武器や道具などを『宿す』能力。

この種の能力者は非常に少なく、未だ解明されていない部分も数多く残されている能力である。

基本的な能力は武器や道具との融合で、『結合』と呼ばれている。

又、結合した武器や道具は『心庫』と呼ばれる心の倉庫に収納され、いつでも結合する事が出来るようだ。

能力者が心庫から武器や道具を結合せずに取り出す事を『契約解除』と呼んでいる。



「…って書かれてたのさ」

「ふーん…その契約解除ってのを応用したワケね」

「そーゆー事!」

「丁寧に教えてくれてありがと。おかげでトドメの準備が出来たわ」

「!?」
ラオマが周りを見ると足元が銀色に染まっていた。

「しまった!」

「もう遅いよ」

逃げようとするラオマを取り囲むように銀の壁が現れた。

「死にな!」

ロゼルが指を鳴らす。

すると壁の内側から無数の鋭い突起が伸び、ラオマの体を貫いた。


「審判、終わったよ?」

ロゼルが審判に声をかけ、能力を解除する。

銀の壁は液体になり、耳元に戻り始める。

壁の中からは血まみれのラオマが現れた。

「しょ…勝者――」
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