記憶の欠片
□7話 来訪者
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男は火球が直撃すると思ったが、それは根の切断という現象によって幻想に止まった。
ラオマの腕が剣になり、締め付けていた根は自らの力で刃を食い込ませたのだ。
火球を横っ飛びでやり過ごすと、ラオマは間合いを詰めつつ剣を交差させる。
ク ロ ス
「"交差する"…」
互いの剣は反発し、青白い火花を散らす。
グ レ ー
「"白と黒"!!」
*
刃が降り下ろされる。
それを受けた植物の能力者は勢い良く吹っ飛び地面を削るように転がった。
「な………!」
目の前の光景に唖然として隙だらけの炎の能力者もすぐに同じ運命を辿った。
それは重傷または死のどちらかに至っていると、見ていた全ての人が思うであろう光景だった。
だが斬られた当人達に大きな外傷は無く、情けない悲鳴をあげて走り去って行った。