記憶の欠片
□7話 来訪者
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「ふぅ…ロゼルのファンは気性が荒いんだな」
ラオマが溜め息をつく。
「それだけロゼルさんが好きだったんですよ……あっ怪我はありませんか!?」
「遅ぇよそれ聞くの、普通最初に聞くだろ?」
「あはは…」
ラオマのつっこみを笑ってごまかすラミ。
「それにしてもアンタ強いのねぇ!」
「まぁな」
セリミアの言葉にラオマは少し得意気に答える。
その時、
「へぇ〜…自信があるんだね、ラオマ?」
三人以外の声がラオマの背後で聞こえた。
「…?」
三人が声のした方を見るとそこには黒のロングコートにシルクハット、手には革手袋、足にはブーツという怪しすぎる格好をした長身の男が佇んでいた。
肌が出ている部分は顔だけしか無い。
「これまたずいぶんと怪しい格好してるな…、まさかアンタもロゼルのファン…とか?」
ラオマが呆れ顔で問うと
「まあ立ち話もなんだから店の中に入ろうか」
と言って男は店に入ろうとした。
「おい、人の店に勝手に入る……!?」
ラオマは男を止めようとして腕を掴んだが、その腕の異様な感触にラオマの顔が固まる。
「お前……一体何者だ?」
「その話は店の奥で…」
男はそのまま厨房に入っていった。
「…どうしたんですか?ラオマさん」
心配そうにラミが覗きこむが、ラオマは答えずに厨房へと向かった。