記憶の欠片

□9話 力の限界
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「くッ!ヒール!!」

(御意)

火傷こそ負っていたが、肩には大きい傷はなく、すぐに聖剣で回復できた。

「…よし、そのまま回復を続けてくれ!」

(何をする気だ?主よ)

「ちょっと突っ込む!!」

ラオマが駆ける。

ローグが銃を連射するが、それでもラオマは一直線にローグめがけて突き進む。

当然銃弾は命中したが、聖剣の能力により傷は一瞬で回復していった。

「成程、そう来たか…」

ラオマが魔剣を振る。

だがローグは魔剣の腹を蹴り、軌道を変えた。

続いて聖剣が振り下ろされるが、それをナイフで受け、炎を纏わせた右手でラオマを殴り飛ばした。

背中で地面を削るラオマ。

「ゲホッ!…あつつつ…」

「甘いな、そんなんじゃチームは組まないぞ?」

「く…!まだだ!!」

傷が塞がったのを確認すると、ラオマは再び剣を構える。

「回復能力か…面倒だな」

ローグが何やら考え始め、やがてある提案をした。

「よし、ここは一つ試験でもやるか」

「試験…?」

「そうだ。俺の攻撃をお前が受け、耐えきれたら合格……どうだ?」

この方法ならば最も早く決着が着くとローグは考えていたのだ。

「ハッ!上等!!」

ラオマも聖剣の能力があれば負けない自信があり、この条件に同意した。

「良い度胸だ」

銃を腰に戻し、ローグはナイフを両手で構える。

「言っとくが、このナイフも銃と同じ素材で出来ている…」

ローグの両手から炎が上がる。

「炎の形状を固定し、炎の刃を造り出せる!」

炎がナイフの周りで渦を巻き、やがて大剣の形を成した。

その刀身はゆらゆらと揺れ動き、本物の炎である事を物語っていた。

「行くぞラオマ!!」

「さあ来いローグ!!」

ローグが地を蹴り、跳躍する。

ラオマも防御体勢を取る。

「炎槌!!」
*

上方から炎の刃を縦一文字に振り下ろす。

そのモーションに合わせて刀身の炎が濁流となり、ラオマを呑み込んでいった。
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