ホストシリーズ

□2.愛惜
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<Side Ryoma>



エージ先輩が居た。

4年ぶりに会った先輩は随分と雰囲気が変わっていて、でもすぐに分かった。

だって、ずっとずっと捜していたから…。


先輩に肩を抱かれながら街を歩く。

色々と話したい事もあったし、近くのファミレスへ行く事にした。

仕事があるからあまりゆっくり出来ないけどって言ってた先輩。

何の仕事してるのかな…?

チラ、と見上げると昔は茶色かった髪が今は赤に変わり、胸元が大きく開いたシャツから見えた金のネックレスが光った。

肩をグッと抱かれ、離れていた距離がまた縮まる。

昔もよくこうやって帰ってたっけ…。

懐かしさに浸った。

昔は何てことなかった事も、今はすごく嬉しい。

俺が先輩の事を好きだと自覚したのは先輩が突然姿を消してからだったから…。


ファミレスに入ると一番奥の席に座った。

向かい合うと嬉しさで緩んだ笑みが浮かぶ。

先輩もそんな俺を見て微笑んでくれた。

「俺な、今ホストやってる」

「ホスト…?」

「そ。しかも俺、店のナンバーワン」

嬉しそうに語る先輩。

そっか…。もう俺の知ってる先輩じゃないんだよね…。

そう思うと急に悲しくなった。

こんなにカッコイイんだからきっと彼女だっている。

美人でモデルみたいな人と付き合ってるんだ。

やっと会えてバカみたいに浮かれてたけど、よく考えたら先輩は俺の事なんてただの仲が良かった後輩くらいにしか思ってないよね…。

「今度遊びに来いよ。リョーマなら歓迎するぜ?」

「でも俺、お金ないし…」

「そんなのいらねーよ。俺を指名してくれたらそれでいいし」

ウインク付きで言われて軽く眩暈を起こしそうになった。

先輩と一緒に居られるならどこだって行く。

「じゃあ今度遊びに行きます」

「おう!じゃあ来る日決まったら連絡しろよ。これ、番号とアドレスな」

スーツの内側のポケットから名刺を取り出しそれを俺に渡す。

これでまた先輩と繋がれる。

「じゃ、俺そろそろ行くな。遅刻すっと怒られるし」

「はい、じゃあまた…」

去り行く先輩に手を振って、その背中が消えるまでずっと見つめた。

やっと掴まえた。

今度は絶対離さない…。

貰った名刺を握り締めて誓った。



<続>


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