ホストシリーズ
□4.焦慮
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<Side Eiji>
今日リョーマが店に遊びに来るとメールが入った。
それからというもの自分でも落ち着きがないと分かるくらいそわそわしていた。
常連客を相手にしながらまだかまだかとリョーマが来るのを待った。
「エイジさん、あちらの方…エイジさんが言ってた方じゃないッスか…?」
ヘルプの一人が遠慮がちにある一席を指しながら告げる。
酔いが回る頭を二、三度振ってジッと目を凝らした。
おぉ、間違いなくリョーマだ。
コイツらに言っといて良かった…。
「サンキュ!」
軽く礼を言って客にも少し抜ける事を告げた。
代わりに別のヤツを呼び宛がう。
再びリョーマに目を遣ると楽しそうに誰かと話していた。
来てたんなら呼んでくれれば良かったのに…。
少し不貞腐れながらも早くリョーマに近付きたいと心が焦った。
リョーマの隣にいた人物に目を疑う。
「おい…何勝手に人のモンに手ェ出してやがる」
今まで上がっていたテンションが一気に下がり、眉間にシワが寄った。
「酷いなぁ。ナンバーワンのエイジさんが忙しそうだったから代わりに相手をさせて頂いてただけなのに…」
「そうだよ、シュウは悪くないよ!」
いつの間に打ち解けたのか、イイトコロをシュウに持っていかれて苦虫を噛んだ。
コイツ庇うとかマジあり得ねぇ…。
「そりゃ悪かったな…。俺の!リョーマが世話になった」
引き攣った笑みでリョーマの隣に勢いよく腰掛け、肩に腕を回すとグイと抱き寄せた。
コイツは俺のだ。
独占欲が支配した。
誰かにリョーマを取られるくらいなら、いっそ告げてしまおう。
あの時言えなかった言葉。
「愛してる…」
もう絶対離さない。
誓いを込めて髪にキスをした。
<続>