小説T

□feeling
1ページ/1ページ




「チーッス」

「もう委員の仕事は終わったの?」

「ッス」

今日は遅くなると聞いていたのに随分と早い。

きっと彼の事だから、上手く丸め込んで他の人に押し付けて来たのだろう。

何食わぬ顔で準備運動をし始めた。

けれど何処かそわそわ。

周りは気付いていない様だけど、僕の目は誤魔化せない。

「英二ならあっちで乾と汁を賭けた闘いをしてるよ」

「……へぇー、そうッスか」

一瞬の間が動揺を隠せていない。

英二を捜してる事くらいお見通しだよ。

「僕たちもやろうか?」

「……お願いします」

英二の事になるといつものポーカーフェイスが崩れる。

彼らしくない。


少し、気に入らないな…。


「すぐに僕の事しか考えられないようにしてあげるよ」

「……?何か言いました?」

「いや、何も」

不思議そうな顔で僕を見つめる越前。

「さぁ、始めようか?」



その全てを僕で埋め尽くせたら─。




<終>



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ