小説T
□feeling
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「チーッス」
「もう委員の仕事は終わったの?」
「ッス」
今日は遅くなると聞いていたのに随分と早い。
きっと彼の事だから、上手く丸め込んで他の人に押し付けて来たのだろう。
何食わぬ顔で準備運動をし始めた。
けれど何処かそわそわ。
周りは気付いていない様だけど、僕の目は誤魔化せない。
「英二ならあっちで乾と汁を賭けた闘いをしてるよ」
「……へぇー、そうッスか」
一瞬の間が動揺を隠せていない。
英二を捜してる事くらいお見通しだよ。
「僕たちもやろうか?」
「……お願いします」
英二の事になるといつものポーカーフェイスが崩れる。
彼らしくない。
少し、気に入らないな…。
「すぐに僕の事しか考えられないようにしてあげるよ」
「……?何か言いました?」
「いや、何も」
不思議そうな顔で僕を見つめる越前。
「さぁ、始めようか?」
その全てを僕で埋め尽くせたら─。
<終>