ホワイトスターに黙祷を、

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曇りの無い、晴れた青空が
太陽と共に

大地にやさしい眼差しを向ける日。



「昼休みだぜー。バスケやるぞー!」


「女子も混ぜてやるぜ!」



童実野高校2年B組は
活発にクラス全員で

バスケットボール大会となった。


言い出した男子達が率先して、女子を誘い

教室に居た、殆どの生徒はグラウンドへと向かっていた。


そう、“殆ど”が。



「おい 遊戯、浅沙!
ゲームばっかやってないで、偶にはバスケでもやらねー?」



皆がバスケに参加しに行った為、人の居なくなった教室には2人だけ。


気の弱そうな、高校生にしては背の低い 男の子と

彼と同じ位の身長の女の子。

此方は女子制服では無く、
学ランに同色のスカートを合わせた、服装違反。



2人は互いの机を合わせて
ゲーム(玩具)で遊んでいた。



「…いいよぉ。ボクの入ったチーム、負けちゃうから…」


『私も遠慮するよ。
また、今度ね!』



運動の苦手な彼は 断り、
そんな彼に よく懐く彼女も断る。



「そっか。でもよ、浅沙には来てほしーんだけど…。
運動得意じゃん」



決して彼女は運動が苦手な訳ではない。

彼を、遊戯を一人にしておきたく無かったのだった。



『…スカートでバスケ、したくないもん』



この一言が、全てを解決した。






本当に2人以外、誰も居なくなってしまった教室で。



「遊雨、ボクはイイからバスケして来なよ?」


『だーめぇ。僕は遊戯と居た方がシアワセになれるの!』



おどけて言ってみせた彼女に、思わず笑顔になってしまった。

その言葉に嘘は無い、と
知っているから。




昔から遊戯にべったりだった遊雨は

遊戯の影響を受ける事が多かった。


学ランを着るのも、遊戯が着るのを見た遊雨が

“カッコイイ!”と言い出した事。

(学ラン着用が服装違反とは
言い切れないが、

スカートを合わせるのは違反かもしれない)


小さい頃も、遊戯の一人称が“ボク”だった事につられる様に

遊雨まで“僕”と言い出して、
遊戯が慌てて直させたり。



つまりは、気付けば彼らは
いつも一緒に居た。






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