ホワイトスターに黙祷を、

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【闇の扉を開く 番人】



空に茜色の射す、夕方。
遊戯は自宅に到着。

遊雨は遊戯の家に寄ってから帰る事が多く、

今日もそうだった。



「遊戯!」


『あっ、杏子ちゃんだ!』


「久しぶりに 遊びに来ちゃった」



杏子も小さい頃は、よく遊戯の家に来ていたが、

忙しくなった今では その機会も減ってしまっていた。



そして3人は 遊戯を先頭に、“GAME”と看板の出ている入口を潜り、


遊戯の祖父、双六が出迎えてくれた。



「いやー、杏子ちゃん。
暫く見んうちに大きくなって…。特に胸じゃ!」


『そんなん言ってたら、
いつか しばかれますよ』


「いやいや、遊雨ちゃんも綺麗になって!
遊戯には勿体ないのぉ」


「じっ、じーちゃん!!」



遊戯は話が苦手な方向に進みそうなので、強制終了させた。




「・・遊戯、まだ例のパズル。
諦めとらんかったのか」



関心した様に言った双六だったが、
表情はにやり、と悪戯なものへと変わる。



「“千年パズル”は人智を越えたものじゃ。
お前には無理じゃよ…」



そしてパズルに付き纏う、曰くの話を語ってくれた。





――千年パズルが発見されたのは、今世紀初頭の事。


イギリスの王墓発掘隊が
王家の谷、

ファラオの墓より持ち出した遺物だったが、

発掘に携わった者は皆、謎の死を遂げた。





「そして最後の一人は
こう言い遺して、息絶えたようじゃ…。

“闇のゲーム”…、と」


『・・闇の、ゲーム…?』



その重く、不確かな言葉に
遊雨は息を飲んだ。



「この箱には、こう文字が刻まれとるそうじゃ…。

“我を束ねし者、闇の知恵と力を 与えられん”…」



“我を束ねる”…。

それはパズルを組む、という事になるだろう。


それは遊戯に更なるやる気を起こさせるには十分なものだった。



「やっぱり願いが叶うんだぜー!
絶対完成させるぞー!!」


「やっぱそれ返して!
高く売れる!」


「結局売りたいだけじゃん!」



しかし ここからは、祖父と孫の微笑ましい戦いとなっていた。



「いつ見ても、仲いいわねー」



パズルを死守して走る遊戯と、
追いかける双六を

ぼんやり見ながら、遊雨は忘れられないでいた。



(“闇のゲーム”、か…)









昼休みの、他には誰も居なくなった教室で遊戯は欠伸をもらした。





―― ≪ごめんね、遊戯!先生に呼ばれてるから行くけど…

“気を付けて”、ね≫


≪えっ…?何の事?≫


≪・・何でもない。
そんな気がするだけだよ…≫





先程の遊雨とのやり取りを思い出して、考え込んでいた。



(・・遊雨の勘、よく当たるんだよなー…。

でも、何に気を付けるんだ?)



「遊戯くん!」



教室前方の入口から声をかけたのは、風紀委員の牛尾だった。





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