ホワイトスターに黙祷を、

□03
1ページ/7ページ


【辻占】


辻占。それは吉凶の兆しを拾う言葉を導く。

鏡を懐に入れて、最初に聴こえて来た言葉を兆しにするのだと言う。



時に私の耳元か はたまた心の奥か、で誰かが囁いてくれる様な気がする。


“気を、つけてね”
“危ないよ”
“それは、駄目だ”


未来を鮮明に教えてくれる事は無い。

けれど、僅かぼんやりと 不確かに先の真実を一欠片、伝えられる。

やさしさに満ちた、声無き声が兆しとなったのは いつの頃だっただろうか。



あの日。
その声が、言ったんだ。


“彼が 帰って来たね。また傍に、居てあげて…”


どうして その言葉に懐かしさを感じたのか、私は 知らない。




.


次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ