story
□チューリップ
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「マルスは歌が上手いな。」
「ふふ、ありがとう。」
そんな他愛もない会話をし、しばしの沈黙が続き。
マルスは庭に咲くチューリップを頬杖をつき見つめ、やっと口を開いた。
「ねえ、アイク君。チューリップの花言葉ってね…とっても悲しいんだ。」
何も言わず、アイクは無表情でマルスを見つめる。
「…『失われた恋』。」
マルスの表情はどこか寂しそうな笑顔へと変わり。
「もしくは…『望みのない恋』。」
再び沈黙し、風がチューリップを揺らす音だけになる。そしてまたマルスから口を開いた。