story
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「あ、雨だ。」
鉛色の空を見上げると、ぽつぽつと雫が落ちてくるのが見えた。
「マルス、傘持ってきたか?」
「あはは、忘れちゃった。」
「じゃあ、俺の傘に入っていけ。」
頬を赤く染め、マルスの手を引いた。
マルスは嬉しそうに微笑み、優しい彼にむけて、ありがとうと呟く。
だがその小さな声は、雨に掻き消されてしまった。
「ねぇ、アイク。」
「どうした。」
二人肩を並べて歩けば、足元でぱしゃぱしゃと水が跳ねる。
「小さい頃、アイクが雨は神様の涙だって言ったの、覚えてる?」
「…あぁ。」