特殊小説
□熱に浮されて
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目の前で苦しそうに息を吐きながら眠る雲雀に、何故もっと早く気付けなかったのかと綱吉は後悔した。
任務から帰って来た恋人を綱吉は何時ものように出迎えた。
今回は長期任務だったので、こうして顔を合わせるのは約二週間ぶり
嬉しくて、彼女を抱きしめようと手に触れた
そこで、違和感を感じた
何時もは少し冷たい雲雀の手が燃えるように熱かったのだ。
雲雀さん?と名前を呼べば至って普通の声音で返事を返される。
自身の気の性かと思い綱吉がデスクに戻ろうと、雲雀に背を向けた時だった。
ドサッ
何かの倒れる音
まさかと思い振り向くと、力無く目を伏せた恭弥が崩れるように倒れていた。
慌てて抱き寄せ、額に手を当てるとかなり熱い
「雲雀さん!雲雀さん!っ、恭弥さん!!」
何度か名前を呼ぶと意識が戻ったように、ゆるゆると瞳が開かれた。
「綱吉…」
苦しげに吐き出された自身の名前に、綱吉は眉を寄せる
こんな雲雀を見るのは、初めてで
気付かなかった自分に腹が立った。
急ぎ内線で医者(シャマルじゃない)を呼び出すと、綱吉は自身の部屋へと雲雀を横抱きにして運び込む。
ベットに横たえられた雲雀は、見たことがないほど弱っていた。