fluctuat nec mergitur

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 散々はしゃいだ1日目。
 もう仲間とは慣れた。一緒に机を囲み、笑って話して。怒られたは怒られたりしたものの、全部が楽しい。
 しかし食べ終わってソファーでゴロゴロしていると眠くてそのまま寝オチ。
「邪魔だ」
「うげっ」
両手で身体を救われ、投げられる。
「うわっなっ」
「ひゃー」
そのまま誰かにぶつかってソリオーラは目を覚ます。
 誰かが下敷きになって地面に撃墜ということにはならず心地よく、それは起きた。
 大あくびをして、伸びをする。そして、キッとソファーを指差しながら早速、プロシュートに叫んだ。
「人が気持ちよく寝ている所を何すんだ!!」
「ああ?てめえ今何時だと思ってんだ8時だぞ、起きねぇお前が悪い」
「キッー腹立つ!」
地団駄を踏むと下敷きになった人が、突然立ち上がったので引っくり返って、転がりながら棚に衝突。
 朝食を食べていたメローネとリゾット、それにホルマジオがその様子を見ていた。
「朝からよくやるよな」
「若さ故の馬鹿というやつか」
そして下敷きになっていた人物、イルーゾォは低血圧で、目の下に隈を作りながらギロリとソリオーラを睨む。
「俺はお前の先輩なんだぜッ!?次んなことしたら」
「はいどーん」
「ぶっ、て、テメェェ!!!」
下に落ちていたクッションを投げられ、顔面クリティカルヒットした。
 ジタバタ走り回る姿を見てアラサー組。主にホルマジオとリゾットはコーヒーを飲みながら微笑する。そんななか、やっと起きたギアッチョが自分の背後を指差して、尋ねた。よっぽど眠いらしく、目を擦りながらだ。
「なにしてんだ?」
「じゃれあいだよじゃれあい。ほんとしょーがねー奴らだぜ」
その答えに眼鏡をかけながら首を傾げる。はて、イルーゾォは何歳だったっけ?
 ずり落ちそうなルームウェアのズボンを上げて席につく。
 彼もまだ、十代後半なだけに幼さが残った顔だ。リゾットが運んできた簡易な朝食を見て、まだ食べる気にならないらしく、俯きながら再び眠りそうになって起き、隣のメローネがプークス笑った。
「なんだよ」
「いやぁ流石十代だなぁって、ジジィは早起きだから」
プロシュートを見ると、目があってしまい椅子から引きずり落とされ直でやられる。
 それを傍目でみながらギアッチョはやっとフォークを持ち、朝食のベーコンを刺した。
 口に運び、もにゃもにゃ食べ始めた彼にリゾットは一枚の書類を提示する。
「今日の仕事だ。今日は」
しかし彼はどうも眠いらしく殆ど耳に入っていなかった。
「聞いてるか?」
「・・・あ?あーわりぃ、眠くて」
「そうか、お前は昨日夜遅くまで仕事だったな、ああ、そうだ・・・」
ふと、なにかを思い付いたように部屋を出て行き二階へ出向いて行った。

Ω
 二階の一つの部屋からは喚き声が聞こえる。
 イルーゾォとホルマジオの部屋なのだが、リゾットは溜め息を吐く。
 すると階段を駆け降りてきた寝起きのペッシとぶつかった。まぁ、転げ落ちることもなければ、その場で動くこともなく。逆にペッシが後ろに倒れそうになったのだが、それを支えた。
「うわっおはようリーダー!!」
「どうした、そんなに焦って?」
凄くリゾットがイケメンに見えたペッシ。だが、状況に気づいて急いで自分の足で立ち
「何か五月蝿くて」
と、肩を竦めてみせた。
「ああ・・・うん」
何も言うことがなくて頷く。何故ならば、残念ながら全員を自分の力で静かにさせようと思ったら骨が折れる、確実に。
「取り敢えず下に行っててくれ」
「分かった!」
はぁ。溜め息をつき、彼は騒がしい部屋に入っていった。
 其処ではギャーギャー喚きながら子供っぽく喧嘩をするイルーゾォとソリオーラがいた。
 リゾットにも気づかず、お互いの長い髪を引っ張って長い脚を兎に角動かす。
「このラプソーンがぁ!!僕は君が泣くまで殴るのをやめないッ!!」
「くそぉ!!黙ってろ腐ったヘソの緒みてぇな髪の毛しやがってぇ!!」
「はっ、はぁん!?ぼっ僕の髪をく、腐った・・・イルーゾォおめーその干からびたバナナの様なおさげ引きちぎってやる!!!!」
「バナナじゃねぇし!!辮髪辮髪!!」
小さな拳で集中的に鼻を殴られるイルーゾォが涙目になりながら個性的な悪口を吐く。
 辮髪というのは、まぁ、検索してくれれば分かるが、実際ソリオーラはそんな髪型をしていないしイルーゾォだってラプソーン、これまた疑問符を浮かべてしまう悪口だが、そんな体型はしていない。
 リゾットは姿を消して近づくと、二人にメタリカを喰らわせる。
「うげぇっ」
「ぐはあっ、め、メタリカ?」
驚き顔を上げた二人の元に姿を現して、無言で小脇に抱えると下へ連れていく。
「どうしようもない奴らだな」
床に落として正座させる。
「あのなぁ寝てる奴もいるし、あまりはしゃぐと床が抜ける」
「マジかよ・・・」
机に突っ伏して寝ていたギアッチョが驚愕の事実に起きた。
「そう、それでだ。ソリオーラ。お前はギアッチョの代わりに任務に行ってもらう。初任務だ」
「・・・おお。僕、誰殺すの?」
案外。薄いリアクションだった。
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